「PACKAGING―機能と笑い」は文字通りパッケージという営みを、異なる二つの視点から見つめ直す試みです。
「機能」では、古典的な素材でありながら、テクノロジーや印刷加工技術の進展によって大きく変化している紙の近未来に目を向けます。
物流が暮らしのインフラとなり、運ぶという営みが多様化した今日では、簡便で機能的な紙器への期待が自然とふくらんでいます。
一方で、環境負荷や資源循環の観点から、紙の役割や守備範囲が変わりつつあります。プラスチックの代替品にとどまらず、紙という素材に新たな光が当たろうとしている今日の状況下で、天然の繊維からどんなかたちが立ち上がり、どんな新しい価値が生まれてくるのかにご注目ください。
「笑い」では、パッケージの魅力に情緒の観点から迫ります。素朴で飾らない、それでいて引き込まれる容器や包装の力には、誰もが覚えがあるはずです。今回はキュレーターとして迎えた梅原真氏に展示物の選定を一任し、一定の価値観で笑いを探求する「篩の目」になっていただきました。
今日の社会や世界へ、どんなメッセージを送ることができるか。
「機能」と「笑い」。二つの観点から「PACKAGING」の可能性を探求します。
機能
Function
12組のクリエイターによる近未来「PACKAGING」の競演。
紙の真価を理解し、その豊かな感覚世界に通じている多方面の才能が参集し、
実用レベルに考え抜かれた容器と包装を提案します。
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開け箱
石川将也グラフィックデザイナー
中路景暁アーティスト/エンジニア
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- Masaya ISHIKAWA|1980年生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。佐藤雅彦研究室を経て、2019年までクリエイティブグループ「ユーフラテス」に所属。20年独立。視覚表現の開発と、視覚認知の研究を基点に、グラフィックデザイン、映像、インスタレーション、科学玩具とそれを用いたワークショップの開発などさまざまに活動している。
- Hiroaki NAKAJI|1987年生まれ。エンジニアとしてメーカーに勤めた後、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]メディア表現研究科を修了。機械装置が生み出す表現に焦点を当てた作品の制作を行う。また、エンジニアとして作品の機械設計・製作のサポートも行っている。
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木のような紙 紙のような木
狩野佑真クリエイティブディレクター/デザイナー
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- 写真/和田 浩
- Yuma KANO|1988年栃木県生まれ。アーティスト鈴木康広のアシスタントを経て2012年にデザイン事務所「STUDIO YUMAKANO」を設立。23年「株式会社NOU」として法人化。ネジ1本からプロダクト、インテリア、マテリアルリサーチまで、実験的なアプローチを重視したプロセスを組み合わせて、様々な物事をデザインの対象として活動している。主な仕事に、錆模様をテキスタイルに落とし込んだ「A-POC ABLE ISSEY MIYAKE|TYPE-IV Yuma Kano project」、資生堂のスキンケアブランドBAUMの店舗設計「Atelier BAUM」など。武蔵野美術大学非常勤講師。
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黒を包む
小玉 文グラフィックデザイナー
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- 写真/野村正治
- Aya CODAMA|1983年大阪生まれ。AWATSUJI designに7年在籍後、2013年にBULLET Inc.を設立。 「物質としての魅力をもつデザイン」に魅せられ、様々な素材や印刷・加工を駆使した、グラフィックの枠を越えた作品制作を行う。 著書に21年『パッケージデザインの入り口』(エムディエヌコーポレーション)がある。 主な受賞歴に、German Design Award、One Show (gold)、Pentawards (platinum)、Cannes Lions、D&AD Awards、iF Design Award、グッドデザイン賞、日本パッケージデザイン大賞(金賞)など。東京造形大学専任教員。
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programmed PAPER
TAKT PROJECTデザインスタジオ
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- 2013年、吉泉 聡を代表として設立。東京と仙台をベースに活動するデザインスタジオ。 既存の枠組みを揺さぶる実験的な自主研究プロジェクトを行い、ミラノデザインウィーク、デザインマイアミ、パリ装飾美術館、香港M+、21_21 DESIGN SIGHTなど国内外の美術館やデザインの展覧会で発表・招聘展示。その研究成果を起点に、様々なクライアントとコラボレーション、「別の可能性をつくる」多様なプロジェクトを具現化している。 Dezeen Awards 2019にてEmerging Designer of the Yearに選出されるなど、国内外で受賞多数。3つの作品が、香港の美術館M+に永久収蔵。23年、21_21 DESIGN SIGHT企画展「Material, or 」の展覧会ディレクターを務める。
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塗紙-NURIKAMI-/紙の留め具
NEWクリエイターズクラブ
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山田十維・沖田颯亜・藤谷力澄・坂本俊太・吉岡俊介
2021年設立。様々な専門性と飽くなき探究心を持った多彩なメンバーが集まっている。グラフィックデザインを中心に、プロダクト、印刷加工、プログラミング、化学、ストラテジックデザインなど、それぞれの得意領域を掛け合わせることで、オリジナリティを確立している。モノやコトがあふれる時代を生きるクリエイターとして、人の行動や感情に寄り添う「新しさ」と真摯に向き合い活動している。
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山田十維・沖田颯亜・藤谷力澄・坂本俊太・吉岡俊介
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おいしいかたち
nomenaエンジニア集団
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- 2012年、武井祥平により設立。日々の研究や実験、クリエイターやクライアントとのコラボレーションを通して得られる多領域の知見を動力にして、前例のないものづくりに取り組み続けている。近年では、宇宙航空研究開発機構JAXAなど研究機関との共同研究や、東京2020オリンピックにおける聖火台の機構設計などに参画。主な受賞歴に、第25回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞、21年Penクリエイター・アワード、17年DSA日本空間デザイン賞金賞、日本サインデザイン賞優秀賞、12年MOTブルームバーグ・パヴィリオン・プロジェクト[公募展]メディア・パフォーマンス部門グランプリなど。
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紙のかたまり
萬代基介建築家
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- 写真/小林久井
- Motosuke MANDAI|1980年神奈川県生まれ。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了。石上純也建築設計事務所勤務後、萬代基介建築設計事務所設立。建築の設計をはじめ、インテリア、展覧会の会場構成、インスタレーション、まちづくり、ランドスケープなどスケールを横断する活動を行っている。主な作品に「おしか番屋」「石巻の東屋」「椎葉邸」など。主な受賞歴に、DSA日本空間デザイン賞大賞、藤井厚二賞、グッドデザイン・ベスト100など。
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一枚
三澤 遥デザイナー
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- Haruka MISAWA|1982年群馬県生まれ。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業後、デザインオフィスnendoを経て、2009年より日本デザインセンター原デザイン研究所に所属。14年より三澤デザイン研究室として活動開始。ものごとの奥に潜む原理を観察し、そこから引き出した未知の可能性を視覚化する試みを、実験的なアプローチによって続けている。主な仕事に、かつてない紙の可能性を探求した「動紙」、国立科学博物館の移動展示キット「WHO ARE WE」、隠岐ユネスコジオパーク泊まれる拠点「Entô」のアートディレクション、複数の円筒形を積み木のように組み合わせて構成した「玉造幼稚園」のサイン計画、上野動物園の知られざる魅力をビジュアル化した「UENO PLANET」がある。
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ジグザグ梱包紙
三井 嶺建築家
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- Rei MITSUI|1983年愛知県生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、同大学院(日本建築史専攻)で茶室を研究。修士課程修了後、坂茂建築設計を経て、2015年三井嶺建築設計事務所を設立。茶室をはじめとする日本建築の建築理論を探求し、設計活動を主軸に自身の建築哲学を実践している。「骨と装飾」「茶室に見る“無”と透明性」「イメージの媒介としての建築」を創作のキーワードとする。主な作品に「日本橋旧テーラー堀屋改修」「柳小路南角」「森の図書館」、茶室「清風庵」など。主な受賞歴にUnder 35 Architects Exhibition 2017最優秀賞、住宅建築賞2021など。
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Paper tube flowers
山口崇多グラフィックデザイナー
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- Agata YAMAGUCHI|1988年生まれ、福岡県育ち。東京藝術大学美術学部デザイン科卒業後、10 inc.を経て2021年にcollé(株式会社コル)設立。 明るいグラフィックデザインをモットーに、企業のCI・VI開発、ブランディング、パッケージデザイン、サイン計画、アートワークの提供に取り組む。22年には自社ブランドomiseを立ち上げ、オリジナルプロダクト制作を行う。主な受賞歴にJAGDA新人賞2024、東京ADC賞ノミネートなど。
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1/2 段ボール
CYQL PROJECTクリエイティブチーム
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- 2021年、日本デザインセンターから生まれた、人とものと廃棄の関係をデザインの視点から考えるプロジェクト。捨てる人の気持ちを循環の起点と捉え、リサーチとアウトプットのサイクルを伴う構想的なプロダクトデザインを行う。 発表作品に、折り紙のように畳んでコンパクトに捨てられる「捨て心地のよいお弁当容器」、プラスチック再生材レコード盤「REPLAY RECORDS」(大日本印刷主催「Recycling Meets Design」第1期参加作品)。
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SHIKI/マンゴーの本
原 研哉デザイナー
日本デザインセンター原デザイン研究所
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- 1992年、日本デザインセンター内に設立。産業文化の可能性を可視化し、新たな覚醒を生み出すデザインを展開。無印良品、蔦屋書店、GSIX、ヤマト運輸、MIKIMOTO等のアートディレクションで知られる。竹尾ペーパーショウにおいては、「RE DESIGN」「HAPTIC」「SUBTLE」など、また異なる展覧会においては、「SENSEWARE」「HOUSE VISION」など、時代の価値観を更新するキーワードを提起する展覧会を作り続けてきた。一方では、外務省の「JAPAN HOUSE」や、「低空飛行」など、日本の文化や列島の風土を資源とするプロジェクトに注力している。28名の所員は、ヴィジュアルコミュニケーション、プロダクツ、建築、編集、ライティング、コーディネーション、プロデュース等の専門の職域を持つ。
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笑い
Laughter
洗練やシンプリシティを目指すのではなく、
パッケージの役割は、思わず手に取らせる力です。
それは一言で言えば「笑い」。
これまでにない角度からパッケージの魅力に迫ります。
- キュレーター
- 梅原 真
高知市生まれ。高知県在住。「土地の力を引き出すデザイン」をテーマにデザインする。柚子しかない村の「ぽん酢しょうゆ・ゆずの村」。かつおを藁で焼く「一本釣り・藁焼きたたき」。荒れ果てた栗の山から「しまんと地栗」。4kmの砂浜を巨大ミュージアムに見立てる「砂浜美術館」。四万十の鮎を原稿料に『水』の本。高知の森林率84%を自慢する「84プロジェクト」。秋田美人をモチーフにした「あきたびじょん」。島根県隠岐郡海士町のアイデンティティ「ないものはない」のプロデュースなど。農林水産省の支援を受け、一本の川全体の生き方をブランディングする「しまんと流域農業organic」進行中。MBA (Master of Bunkou Administration) が取得できる、実技と座学の学校「しまんと分校」を建設中。2016年、毎日デザイン賞特別賞受賞。武蔵野美術大学客員教授。
トークセッション
会期中、会場では原研哉氏、梅原真氏をはじめとするクリエイターによるトークセッションを予定しています。
紙と循環
環境素材としての紙を今一度見つめ直すセクションです。計画伐採・植林など森林を未来につなぐ仕組みをはじめ、循環する資源としての紙の諸相を捉え直します。さらに、森林を起点とするエネルギーやCO2のサイクルなど、紙と地球にまつわる事実を俯瞰します。
FINE PAPERS
2019年以降に発売した新製品やリニューアル品を中心に、竹尾の多彩なファインペーパーをご紹介。パッケージ用途や環境配慮型製品、デジタル印刷対応といったカテゴリ別に、20銘柄以上をご覧いただけます。お持ち帰りいただける印刷加工サンプルもご用意しています。
書籍
展示空間で表現された内容を再構成した一冊です。「機能」篇では、参加クリエイターによる近未来の「PACKAGING」を、高精細な写真や本展ディレクターの原研哉氏による解説とともに紹介。「笑い」篇では、キュレーターの梅原真氏が厳選した100点のパッケージをはじめ、会場にてご覧いただいた梅原氏によるムービー「笑いのワケ」の書き起こし版を掲載しています。また、紙という素材と人間の関係を見つめ直す鼎談、デザインと笑いについて語り合う鼎談の2本を同時収録。「機能」篇は左開き、「笑い」篇は右開きになる独自の造本設計も特長です。
書籍『PACKAGING—機能と笑い』(美術出版社)
価格:4,400円(税込)
仕様:B5変型、320ページ、背開き製本
監修:株式会社竹尾
企画・構成:原研哉+日本デザインセンター原デザイン研究所
印刷:サンエムカラー
製本:篠原紙工
開催概要
名称
「PACKAGING—機能と笑い」越前・鯖江展
会期
2024 年10月31日|木|―11月3日|日|
10月31日|木|
13:00-18:00(最終入場17:30)
11月1日|金|―2日|土|
10:00-18:00(最終入場17:30)
11月3日|日|
10:00-16:00(最終入場15:30)
会場
福井ものづくりキャンパス
福井県越前市瓜生町5-1-1
Tel. 0778-21-3106
https://www.sankan.jp/fmc/
入場
無料
- 竹尾ペーパーショウとは
- 紙の専門商社 竹尾が1965年より開催している紙とデザインのイベントです。同展を通じ、紙を様々な角度と視点から掘り下げ、時代を牽引する多数のデザイナーとともに、その意味と価値を追求し続けています。本展で49回目を迎え、業界唯一そして最大規模のイベントと評されています。
- RENEW/2024
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会期:2024年11月1日|金|―3日|日|
会場:福井県鯖江市・越前市・越前町全域
総合案内:うるしの里会館(福井県鯖江市西袋町40-1-2)
>>「RENEW/2024」詳細はこちら(「RENEW」公式サイト)
- 主催
- 株式会社竹尾
- 総合プロデューサー
- 竹尾 稠
- 企画・構成
- 原 研哉+株式会社日本デザインセンター原デザイン研究所
- 協賛
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王子エフテックス株式会社、大王製紙株式会社、
ダイニック株式会社、
大和板紙株式会社、
中越パルプ工業株式会社、特種東海製紙株式会社、
日本製紙株式会社、北越コーポレーション株式会社、
三菱製紙株式会社、
リンテック株式会社
- 特別協力
- 日本製紙連合会、一般社団法人SOE / RENEW 実行委員会、TSUGI
- 後援
- 公益財団法人福井県文化振興事業団
- お問い合わせ
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株式会社竹尾 淀屋橋見本帖 Tel. 06-6232-2240
(11:00-18:00 不定休)
アクセス
福井ものづくりキャンパス
福井県越前市瓜生町5-1-1
Tel. 0778-21-3106
- 電車
- 福井駅から鯖江駅まで約15分
- 鯖江駅よりタクシーで約5分/徒歩25分
- 敦賀駅から武生駅まで約30分
- 武生駅よりタクシーで約10分
- 福井鉄道サンドーム西駅から徒歩約20分
- 車
- 北陸自動車道 鯖江I.C. から約5分 武生I.C. から約8分
- RENEW 総合案内所「うるしの里会館」より約20分
- 飛行機
- 小松空港から連絡バスで福井駅まで約60分(福井駅から電車利用)
株式会社竹尾について
株式会社竹尾 TAKEO CO., LTD.
1899年(明治32年)創業の紙の専門商社。創業当時より洋紙の輸入販売を行い、1950年代からは質感や色を重視した「ファインペーパー」の研究と開発を開始。国内外の製紙会社と連携して先端技術を取り入れると同時に、時代を牽引する多数のデザイナーとともに創造性を刺激する素材としての紙を生み出してきました。また、「見本帖本店」をはじめとしたショールームやtakeopaper.comの運営、竹尾アーカイヴズの活動等、紙文化の活性と市場づくりに挑戦し続けています。
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